少し前に、デッキで食べる極楽朝食の話を書いたのがきっかけで、突然思いついたことがある。青空と陽光につつまれて、遠くに富士をみながら朝からテーブルトップクッキングはどうだろう。
「案ずるより産むが易し」早速買い物に出て、上等のベーコンと普段は絶対買わないような高価な卵を買ってきた。
目玉焼きなど久しくやっていないが、その程度ならなんとでもなるだろう。できたてのベーコンエッグにブラックペッパー、焼き立てのベーコンのスモーキーフレーバーはなんとも言えない。
小さな幸せが又ひとつ増えた。
こんな極道は現役で走り回っている時代には夢の又夢。これぞ隠居の特権というものだ。
この思いつきのきっかけは、私が愛用しているミニホットプレートである。
このホットプレートは15センチ四方しかない葉書より少し大きい程度の、ほんとに小さなものだ。なんでも温めたり、焼いたりして食べるのが大好きなわがまま爺さん専用で、常時食卓の片隅にある。
このホットプレートは、鉄板の下のボディが無垢の木というのが、木が大好き人間としてたまらない魅力なのだ。
デザインだけでなく、なんでも焼けるし、時にはstaubの小さな鉄鍋で玄米粥を炊くが、とても美味しい粥が炊ける。ほとんど待つことなくあっという間に温まるプレート、使用後はティッシュ2枚でものの見事に掃除ができるという私にとっては理想に近い道具なのだが、あまりに小さいので、使いにくいという人もいるかもしれない。
ただ、残念なことにこのモデルは今や手に入らない幻の名器となってしまった。
理由は知らないが、電気製品というより木の工芸品に近いので、そもそも素材が量産むきではないというのが大きな理由ではなかろうか。
今や食卓の宝物、予備を買っておけばよかったとくやまれる。