バターナイフ  2024モデル木地づくり

 今年の秋の展覧会に向かって、バターナイフの2024年モデルの制作を始めた。

2024モデルといっても新型という意味合いではなく、毎年気づいたところをごく僅か手を加えているだけで、それは大きくてもミリ単位の線の変更である。

 昨年は素材に極上のバーズアイメープルが入手できたこともあって、大好評のうちに完売となった。当たり前だが、何を作るにしても材料ありきだが、材料といっても作るものに適した材料という意味で、木ならなんでも良いという訳にはいかない。

 

 我家では薪ストーブが暖房の主体なので、毎年沢山薪を購入している。今年は暖冬とはいえストーブ無しでというわけにもいかず、このところは毎日24時間運転に近い。

ある日手に取った薪が妙に重いことに気づいた、同じ薪を燃しているのだが、それまでは気づかなかった。改めて眺めてみると目のつまった立派な樫の木である。

良質な薪というのは伐採してから最低2年乾燥させる、とくに樫の木のような堅木はしっかり乾燥していないと燃えないものだ。

であるなら、この薪は細工の素材として使えるのではないかと数本の薪はストーブから工房へと行き先変更となった。


 少し太めの薪を選んで、バンドソーで轢いてみると、燃してしまうのがおしいような美しい木目で、試しにこれでバーターナイフを作ってみようと思い立った。

あまりに硬いので仕事は大変だが、バターナイフという用途にピッタリな素材のように思う。

 

 ここで、少しばかり、制作プロセスの話をしておこう。まず写真のように長方形の曲がった板を切り出す。

次に、それにバターナイフの線を描き、大まかにナイフの形にカットする。これが、その後のすべてのプロセスの基本となる最も大切な工程で、全体の微妙なバランスを徹底的に検討する。私の場合は一回ではダメで、時間をおいて日に二度ぐらい、寝て起きて二、三日かけて最終的な線を決めていく。

決まったラインで型紙を制作、これが2024モデルの原型となる。

 作業は、この原型に従って、樹種を決めて数十本の木地を制作することから完成までの長い道のりが始まるのだ。

その後のプロセスもいずれご紹介したいと思っている。